「少しずつ、自分たちで作ったんだよ」と、くたっとした笑顔が印象的な畔柳寿宏さん。下町風情が残る東京都台東区で、ギャラリースペースspace dikeを運営している。昔は水道の業者が入っていたという5階建ての細長い建物だ。
1階と2階はギャラリースペース、3階から上は居住スペースだ。住み始めた後、年月をかけて自分たちの手でリノベーションをしながら、ギャラリースペースを作り上げた。
畔柳さんは高校生まで各務原で過ごし、その後、大阪、東京と移り住んだ。
上京後に写真を習い、仲間と写真展を開くようになったことがギャラリースペースを開くきっかけになったという。民家の2階を借りて展示をしながら、「自分の展示をみんなに見てほしい」という、芸術活動をする人のためのスペースがあってもいいのではないかと考えるようになった。
当時、展示を見に来た人に、お礼の気持ちを込めてお茶やお菓子を出していて、そのスタイルは、現在のspace dikeにも引き継がれている。
「ちょっと座って話すスペースがあると、色々な方の感想などを聞くことができるし、みんなが繋がりをもつきっかけの場にもなってると思う。」と畔柳さん。妻の佐季子さんがお茶やお菓子を用意してくれる。
「space dikeには、写真だけでなく色々なアートの展示をしたいという思いもこもっているんです。」
2階の床が開閉可能な構造で、開放時は1階と2階が吹き抜けのスペースとなる。白く塗られた壁と高さのある天井は、展示をする人にとってもワクワクしそうなスペースだ。
40歳を過ぎてから始めたというこのギャラリーには、畔柳さんと佐季子さんの「こんなスペースがあったらいいな」という想いが溢れている。「うちの名物はトイレなんですよ」と見せてくれたトイレには、今までの展示に関するフライヤーなどが貼られ、この場所の歴史を色濃く物語っていた。
人との繋がりの輪を広げていく中で、偶然、インターネット動画サイトで各務原市の動画を見て、故郷を思い出したという畔柳さん。その後、帰省した際に、イオンモール各務原にある市の移住定住総合窓口「KAKAMIGAHARA OPEN CLASS」を訪れたことがきっかけで、本サイトなどでまちの最新情報を確認するようになった。
「自分が住んでいた頃よりもずっとおしゃれな街になりましたよ。各務原市から出ていく人も少なくなってきているんじゃないかな?」
最近では、岐阜ホールで実施したPOP UP SHOP「かかみがはらSky Base」のプロジェクトなど、市が主催するオンラインイベントに参加し、市外に出たからこそ感じることを伝えている。繋がりを大切にしている畔柳さんらしいスタイルだ。
畔柳さんにとって、“故郷”である各務原はやはり特別な存在だという。故郷のまちの変わりゆく姿に想いを馳せつつ、space dikeを通して出会った、土地に縛られることのない豊かな感性を持つ人々に刺激を受け、その積み重ねを楽しみ続けていく。
space dikeは2021年4月に同じ台東区内に移転した 。スペースをきっかけに様々な出会いや繋がりを大切にしながら、新しい場所でも、理想のギャラリースペースを築き上げ、新たな歴史を刻んでいくに違いない。
株式会社リトルクリエイティブセンター LITTLE CREATIVE CENTER Inc.
こんにちは!株式会社リトルクリエイティブセンターです。岐阜にあるデザイン会社で、デザイン業務や編集・出版を中心に活動しています。また、東京・日比谷でアンテナショップ「岐阜トーキョー」を運営し、首都圏で岐阜を編集して情報発信しています。2020年春に各務原市と連携協定を締結。首都圏に向けてまちの魅力を一緒に発信していきます。