静かに鍵盤に向かい、目を閉じ深く息を吐く。会場全体が、ひと時の静寂に包まれる。
次の瞬間、鍵盤に軽く添えた指先は、弾むように動き出し、軽やかな音色を奏で聴衆の心をやさしくも激しく震わせる。
各務原市出身で、現在、東京藝術大学大学院でピアノを専攻する、須藤帆香さん。
第72回全日本学生音楽コンクール高校の部全国大会第1位、併せて野村賞、井口愛子賞、日本放送協会賞、かんぽ生命奨励賞受賞。ショパン国際ピアノコンクールin ASIA第22回大学生部門金賞など華々しい経歴を持ち、これからの活躍が期待される若きピアニストだ。
「両親が音楽に触れる子育てをと、2歳ころからリトミック教室に通わせてくれました」と、音楽に興味を持ったきっかけを話す帆香さん。ピアノを習い始めたのは4歳で、はじめは習い事の1つだったと振り返る。
自分の意志でピアノを続けていきたいと思ったのは、小学校5年生で出場した「ピティナ・ピアノコンペティション」の時。「バロック」「古典派」「ロマン派」「現代」の4曲を通して演奏し、「ホールで弾けることが幸せと感じた」と語る。そして、「幸せを感じて演奏することは、審査員や観客も幸せに感じているということが分かった」と続けた。日々の練習に真摯に取組み、その先に得た達成感と高揚感。特別な瞬間だったに違いない。
私が帆香さんの演奏を初めて聴いたのもその頃だ。市文化協会主催の「各務原ピアノ教室」で、昭和音楽大学教授(現在は副学長)の江口文子氏による公開レッスンと発表会でのこと。軽やかな演奏がとても印象的だった。その後、市主催の「YOUNGコンサート」など、幾度か演奏を耳にしてきた。今年2月に市役所2階で開催された「アンティークピアノコンサート」で、数年ぶりに彼女の演奏を間近で聴き、テクニックと表現力に心が奪われた。
好きな作曲家は、リストやラフマニノフ、バッハ、ショパンなど。超絶技巧や難曲が思い浮かび、彼女の音楽に向き合う姿勢が伺える。そして、目標とする演奏家は、同郷でもある「上原彩子さん」。いつかお会いしたいと目を輝かせていた。
練習は、1日10時間を超えることもあるという帆香さん。後進の指導にも力を注いでいけたらと今後についても教えてくれた。
ピアノと向き合いより高みを目指す彼女のこれからにも注目したい。
撮影協力:株式会社ジー・アイ・サービス「かとれあくらぶ」






