「和菓子で1 番大切なのは季節感。それがなければ和菓子の魅力は半減する。」そう話すのは、大正9 年創業の御菓子処・餅信4 代目の信田晃弘さん。学生の頃、茶道部だった私は、いつも菓子器に並ぶ和菓子を見て胸が高鳴った。あの気持ちは、季節を体感していたからだと納得した。
淡いピンクの艶やかなグラデーションや、うぐいす色が春を思わせる。赤鬼と青鬼の、小さな角とトラのパンツが何とも可愛らしい。信田さんが作る上生菓子には四季を体感できるだけでなく、色彩豊かで食べるのが勿体ないくらい繊細な世界が広がる。思わず見惚れる上生菓子は、感性や技術を独自に習得してきた信田さんの手によるもの。近くにある市民公園や学びの森の植物や、家族で出かけた時に見た景色などからインスピレーションを受けるという。
手の中でやさしく包まれる練り切りがほんのりと色を変え、木製の道具をやさしく当てる。ほんの数秒で生まれる季節の彩りは、鋭い職人の目としなやかな手仕事により生み出される。見ているだけで心が躍る。
そんな信田さんだが、意外にも幼い頃はあんこが嫌いだった。そのことがあってか、和菓子職人も初めから目指していた訳ではないという。「自分で思いついたお菓子を作り、名前や値段をつけ、自分のスタイルでできることは魅力的」と感じたことがきっかけで、職人の道へ足を踏み入れた。和洋折衷に挑戦するなど、伝統的な精神を引き継ぎながらも新たなものを創り出す。芸術的な上生菓子にも、そのビジョンが表れている。根底には常に「人を喜ばせることは面白い」という考えがある。
それは店づくりにも表れている。白を基調とした店構えに、まるでパティシエのような装い。胸元に刺繍されたロゴも自らデザインした。年齢や性別などの垣根なく、気軽に店内に入ってきてほしいとの思いがある。
「お客さんのワクワクが見たい。自分もワクワクしたい。」楽しいことを形にし続けるのが信田さんスタイル。これからどんなワクワクを感じられるのだろう。今後が楽しみだ。
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