蘇原新栄町・栄通り沿いに佇む「珈琲蔵人」。扉を開けるとまず目に入るのは、壁一面を彩る数え切れないほどのコーヒーカップたちだ。高い天井とシックな内装が織りなす空間は、落ち着きがありながらも肩肘張らずに過ごせる雰囲気を漂わせている。カウンターは4席。ひとりでふらりと立ち寄っても心地よく迎えてくれる。
「創業は、2006年4月18日です」と日付まで即答してくださったのは、マスターの村橋俊彦さん。この地で店を構える前からコーヒーを淹れ続けており、通算すれば40年以上ものキャリアを誇るベテランだ。
提供されるコーヒーは実に多彩。焙煎度だけでも5種類あり、組み合わせよって30種類以上の味わいが楽しめる。選択肢が多く迷ってしまう人には、「月替わりのブレンド」がおすすめ。マスターがその季節に合わせて選んだ一杯を味わえるので、初心者からコーヒー通まで幅広く楽しめるだろう。
フードメニューは基本的にはないが、モーニングサービスは開店の午前6時から正午までとたっぷり。日替わりパンセットは特に人気で、サンドイッチ、エッグトースト、ハムチーズまたはピザトースト、ホットドッグの4種類を日替わりで提供する。毎週同じ曜日に訪れても違うメニューが味わえるのは嬉しい工夫だ。ただし、人気のため、売り切れてしまうこともあるとのこと。特にホットドッグは一番人気で正午までない可能性もあるのでご注意を。
特に印象的だったのは、アイスコーヒー。注文すると、コーヒーで作った氷がたっぷり入ったグラスと熱々のコーヒーが入ったピッチャーが目の前に運ばれてくる。コーヒーを自分で注ぐスタイルだ。香り高い濃厚な味わいが最後まで薄まらず続き、演出としても楽しめる一杯だ。ちょっとした仕掛けに、思わずニッコリと笑みがこぼれる。
取材を通じて伝わってきたのは、マスターの飾らない人柄だった。「無理のない形で続けていきたい。なんだかんだで、この仕事が好きなんですよね。お客さんが笑顔で帰ってくれることが何よりのやりがいですね」と語る言葉には、コーヒーと店、そして人への真っ直ぐな愛情がにじむ。
ゆったりとした時間が流れる「珈琲蔵人」。その心地よさの背景には、マスターの温かな人柄がある。美味しいコーヒーとともに、時間を忘れるひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。







