入店を待つ店先、私の食欲を掻き立てる香りがする。
扉を開けると、厨房から「いらっしゃいませ!」と明るい声。
カフェのような木目調で暖かなライトが灯る店内は、朗らかな空気が流れる。常連さんとアハハと笑い合うのは、さわやかな笑顔の店主・吉岡翼さん。
一番人気は、鶏白湯。迷わず鶏白湯の全部のせを注文する。
クリーミーで濃厚なスープをおたまですくい、火にかけられた1 人前用の鍋に注ぐ。ジューという音と同時に、スープの香りが立ち上る。手際よく麺を茹で、温められたスープの入ったどんぶりに入れ絡ませ、素早く丁寧に麺を捌く。鶏チャーシューと豚ロースのレアチャーシュー、水菜などを彩りよく盛り付ける。白い湯気がたつ厨房から手元に運ばれた鶏白湯。待ちきれず、レンゲを持ってしまった。
まずは、スープを掬い、口へ運ぶ。途端、とろみとコクのある鶏の旨味が優しくなめらかに口の中に広がる。ポタージュのような濃厚さの中に、飽きないさっぱりさもある。そして、つるつるとした中太麺が濃厚なスープによく絡む。思わず目を瞑り、味をかみ締め、もう一口と手が伸びる。しっとり柔らかな舌触りのレアチャーシューは、他では食べたことがない絶品。この柔らかさを保つことは難しく、長年かけて創り上げた代物だ。
メニューは他にも、あっさりスープの鶏中華塩、3種の醤油を合わせた鶏中華醤油、鶏白湯と魚介のスープを合わせたWスープ、つけ麺など。豊富なメニューで数々の楽しみ方がある。これは、「老若男女問わず食べに来てもらいたい」と願う翼さんの想いからだ。
ラーメンを作るうえで最も苦労することは、「スープ作り」。2日間かけ丁寧に煮込んだ鶏の濃厚スープ鶏白湯は、奥美濃古地鶏を使用。白濁したスープを機械ではなく、自らの手で漉す。ラーメンに合う機械が見つかるまではこのスタイルを変えないという。変色したごつごつした硬い手のマメは、翼さんの妥協しない姿勢の現れだ。季節によって鶏の状態が異なるため、オープン当初は納得のいく味が出せず、店を開けない日もあったそうだ。現在も、試行錯誤しながら、納得のいく味を追求し続けている。
「この店は、一人で作ったものではなく、友人たちの支えがあったから」と翼さん。生まれ育った地元に店をオープンし、当初からともに働くスタッフの中には、幼馴染がいる。友人に一文字ずつ書いてもらったという店の看板や、店内にある力強く立つ「喝」の文字。これまで何度も助けられたという。「一人ではない」気持ちが彼を鼓舞している。仲間という羽が集まり、翼はこれからも飛躍する。
最後に、自家製麺を提供したいと今後について教えてくれた。
どんぶりに記された「TSUBASA 716」はオープン日。初心を忘れず進化し続けるラーメン翼。これからも目が離せない。
ラーメン翼―TSUBASA―
ラーメン翼―TSUBASA― ラーメンツバサ
各務原市鵜沼三ツ池町1-33-1
営業時間:11:00~14:00
18:00~21:00
定休日:日曜日夜・月曜日
TEL:058-257-1586
WEB:https://ramen-tsubasa.jp/
Instagram:@tsubasa.0716
大西 結月y.onishi_ofk
生まれも育ちも各務原。滝や山、川など自然巡りが好きです。大好きな地元の魅力を発信したいです!よろしくお願いいたします。