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持続可能な農業。小林さんの挑戦。

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持続可能な農業。小林さんの挑戦。

各務原農園

カカミガハラノウエン

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2021.03.29

各務原農園では、栽培期間中に化学肥料を使用せず食品残渣(ざんさ)を発酵させてできた有機肥料のみを使って農作物の生産を行っている。約7,000㎡の農地で栽培されたルッコラ、からし菜、ワサビ菜、小松菜、チンゲン菜、春菊といった野菜たちは主にレストラン、高級料理店などに納められ料理に花を添えている。
取材の際に頂いた野菜を僕も食べてみた。フリルレタスを千切ったサラダを塩、オリーブオイルで頂くのが我が家流だが、今回は頂いたからし菜を混ぜて食べてみた。一口食べて存在感がヤバいと感じた。どちらかと言うと脇役の印象が強かったからし菜も主役級の味わいで主張が凄い。いつものサラダが数段グレードアップした印象。やはり農薬をなるべく使わず収穫された野菜たちは一味違うらしい。ネット販売もあるので、皆さんも是非一度食べてみてほしい。

各務原農園では2011年に設立された当初から「循環型農業」に取り組んでいる。「循環型農業」とは、環境に配慮した持続性の高い農業のこと。環境保全に配慮しつつ、消費者に安心・安全な農作物を食べてもらいたい、と代表理事の小林隆哲さんは話す。

小林さんは各務原市の元職員。市内の各家庭から出されるゴミの処理を行う北清掃センターに勤務した経験もある。
ゴミを焼却する際、一番コストがかかるのが生ゴミ。水分が多いからだ。燃料代は市の負担になるし、化石燃料は限りのある資源である。生ごみを有効活用して有機農業ができれば一石二鳥ではないか、と考えた小林さんは一念発起、自ら農園を立ち上げた。

始めたはいいが、農園の運営は苦労の連続であったと言う。
自ら有機肥料を作らなければいけないところからして普通の農家とは違う。まずは肥料の原材料となる食品残渣を確保しなければならない。飲食店、介護施設などを1つ1つ訪ねて回り、食品残渣を分けてもらえる様に交渉した。食品残渣の中に箸、プラスチック片など不純物が混じっていると肥料の品質が安定しない。厳格な分別作業が必要で供給者側にも負担を強いることになるが、循環型農業に対する想いを繰り返し伝えることで、少しずつ食品残渣を確保できるようになったそう。
発酵施設を設置するにも自治体からの特殊な認可が必要となるが、スムーズにはいかず・・・。何とか肥料を作る段取りがついても野菜作りも一筋縄ではいかない。やっとできた野菜を市場を通じて流通させようとするも割高な有機野菜は敬遠される。聞いているこっちがうんざりするほど苦労の連続だ。

それでも試行錯誤を重ねる中で安定的に野菜を生産できるようになり、生産できる野菜のラインアップも増やしてこれた。販路を求めて様々な展示会に出展する中で評価を獲得、料亭、レストランなどに採用されるようになったし、農場内のオペレーションも軌道にのった。今、小林さんはイチゴ、大根など新たな野菜の生産に取り組んでいる。商品化できた際には是非一度味わってみたいものだ。きっとまた大きな驚きがあるだろう。

なお、この農業スタイルを実現するのに、ここ各務原はちょうど良い立ち位置にあるそうだ。田舎では肥料の原料となる食品残渣の調達が難しく、都会では農地が確保できない。各務原市は比較的広い農地が確保できる上、商業施設、市街地があり人口も多い。各務原農園が農業のロールモデルの1つになってくれれば、とも話す小林さん。原材料となる食品残渣によってそこから生成される堆肥の品質は変化する。地元に大きな食品工場があった場合、その工場から排出される食品残渣を使った堆肥ができる。その堆肥を使って農産物を作れば、その野菜はその土地のブランド野菜となるだろう。野菜のブランド化が確立でき、農業がビジネスとして回りだせば、農業の従事者も増えるだろうし、長年問題となっている農業者の後継者不足も解決する。生ごみが減れば自治体がごみ処理コストを大きく引き下げることも可能であろう。

夢物語にも聞こえるが、よりよい未来を実現するためには一歩踏み出すことが大事。そんなメッセージを小林さんの話の中から感じた。僕ら消費者にだってできることはある。買い物をする際、環境に配慮した商品を選択する、ゴミの分別等できることから始めたい。先日読んだ新聞に、「コロナ禍によって変化したことの1つとして、SDGsに対する取り組みなど世界全体として解決しないといけない問題に対し、これまで以上に共感できる様になったことがある」という記事があった。自然災害やウイルスの前で、僕らの日常はあまりにも儚い。儚いからこそ、力を合わせて守っていかないと、という機運が高まっている。自分も微力ながら小林さんの勇気ある挑戦を応援していきたいと思う。

各務原農園

DATA

各務原農園 カカミガハラノウエン

各務原市鵜沼古市場町1-142
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日
TEL:058-370-7237
HP:https://www.kakamigaharanouen.jp/

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2021.03.29

WRITER PROFILE

南村 高志MINAMIMURA TAKASHI

1979年生まれ。会社員、2児の父です。音楽好きで週末の夜は柳ケ瀬界隈のライブハウスに出没します。市民ライターへの応募はOFTにタダで入れるのでは?との不純な動機からでしたが、まじめに各務原市のヒト・モノ・コトを発信していきます。

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