「ここは居心地がよい空間」
お店に足を踏み入れた瞬間、自然にそう感じた。
学びの森からほど近く、住宅街に佇む「ichiraku」。2025年5月にオープンした、石堂智之さん、晶子さんご夫婦が営む料理店だ。
この場所は、約30年前まで石堂さんのご両親が経営する「一楽鮨」があった。地域の人たちに親しまれていた一楽は、時を経て装いを新たにichirakuへと生まれ変わった。かつてのお店の面影を大切に残しながら、新しい魅力を育んでいる。昔からこの地域を知る人には懐かしさを、初めて訪れた人には、受け継がれてきた物語を感じさせてくれる。
店内は、柱や梁、カウンターなどはそのまま残しリノベーション。夫婦自らDIYにも積極的に取り組み、柱や壁は何度も塗り重ねたという。寿司ネタケースがあった場所は、茶系のナチュラルカラーのタイルをあしらい、落ち着きのある空間へ。「インテリア小物や植物は、お客さんや地域の人たちから贈られたものなんですよ」と晶子さん。ご夫婦の温かな人柄が伝わってくる。
ichirakuのロゴにも、この場所の歴史が息づいている。ロゴの「a」の丸の中に、一楽鮨時代のロゴがさりげなく描かれ、想いが受け継がれている。訪れた際には、ぜひそんな細やかなデザインにも注目してみてほしい。
料理は、旬の食材を彩り豊かに盛り付けた、目でも舌でも楽しめる一皿ばかり。寿司店の歴史を受け継ぐお店らしく、「特に魚には強いこだわりを持っている」と智之さんは語る。
取材時にいただいたのは、カツオに柑橘の爽やかなアクセントを添えた野菜たっぷりの前菜と香ばしく揚げられた稚鮎のから揚げ。どちらも旬の食材を味わい豊かに仕上げた絶品。コース料理は、季節ごとに内容が変わるため、訪れるたびに新しい味との出会いが楽しめそうだ。
日常のちょっとしたご褒美にも、大切な人との記念日やお祝いなど特別な日にも、さまざまなシーンに彩りを添えるichiraku。
ひとつひとつ丁寧な仕事と細やかなおもてなしが織りなす「居心地がよい空間」。







