緑の多い穏やかな景色の中に佇む一つの喫茶店。晴れた昼下がり、店内に足を踏み入れると、大きな窓からは日光が燦々と差し込んで店内を照らしている。
店主の永田さんは、大学時代を過ごした東京で、足繁く喫茶店に通っていたという。愛知県で民間企業に就職してからの十数年も、家と会社を往復する日々の中で、ホッとする時間を過ごすために喫茶店を利用していた。そんな時、とある喫茶店で出会ったmilouさんの珈琲豆が、「喫茶店をやりたい」という、諦めきれなかった夢の後押しをしてくれた。
ゆっくりと穏やかに落ち着いた時間を過ごせる喫茶店はどうしたら実現できるのかを考えた時、愛知ではなく岐阜でしたいと思っていたという。各務原には何度も訪れたことがあり、このまちに住む人たちの温かさを知っていたことが決め手となった。
店名はフランス語でじゃがいもを意味する「pomme de terre」。地道に泥臭く、お客さんに真摯に向き合うと決意して名付けた。
店内のこだわりは、大きな窓とシンプルな内装。景色を楽しめるよう可能な限り大きくした窓からは、豊かな緑あふれる景色が見える。
また、店内の陶器の呼び鈴が、シンプルな内装に溶け込んでいる。母親の出身地の石川県で出会った大好きな作家さんの作品で、珈琲カップも飲み口の厚みや大きさを調整し製作していただいたものだそう。
メニューには、珈琲はもちろんのこと、珈琲が飲めない人向けに、カメリアズティーハウスロンドンの紅茶もポットサビースで用意されている。ショーケースに並ぶこだわりのお菓子から、今回は、珈琲のお供にチーズケーキをいただく。珈琲をあまり飲まない私でも、珈琲の香りと味わいに驚いた。砂糖もミルクも入れていないのに、不思議と珈琲の中にほのかな甘さを感じる。陶器の口当たりも柔らかく、飲みやすい。チーズケーキはどっしりと濃厚で、酸味が少なく舌に馴染む優しい甘さだ。聞くとよつ葉クリームチーズ、素焚糖を使用し、配合も試行錯誤を重ねてつくり上げたというレシピ。珈琲を飲んだ後でも味は打ち消し合わないまま、珈琲の豊かな香りとケーキの甘さが混じり合っている。
自分が喫茶店に通ったときのように、日々の生活をリセットし、ホッとできる大切な時間をゆっくりと過ごせる場所にしたい、それが永田さんの一番の想いだ。
取材の最中、大きな窓越しに見えた近所の方の姿。永田さんが手を振ると、にこやかに挨拶を返していた。お店の常連さんでもある近所の方たち。「皆さん、お庭や畑の手入れをこまめにされているので、ここからの景観はいつも気持ちが良いのです。ご近所さんに感謝しております」と永田さん。
日々の喧騒を忘れ、心も身体も落ち着く場所を探している方は、ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
café pomme de terre.
café pomme de terre. カフェ ポム ド テ
各務原市蘇原坂井町3-85
営業日 木・金・土曜日 9:30~17:00
駐車場 6台
Instagram:@cafe_pommedeterre._
鳥羽 美智子m.toba_ofk
各務原生まれ、各務原育ち。かわいいカフェを巡るのが趣味です。生まれ育ったまちの良さをたくさんの人に届けられるように、頑張ります。