健康的な野菜が生育するため、土を育てる。
一面みどり色に染まる畑。風が吹くたび、草原のように波立つ。土はほぼ見えず、陽の光を浴びいきいきと旬の野菜が育つ。
市内9カ所 約0.9hで、有機農法による野菜づくりを行う「Organic Farm つちとて」。
現在栽培するのは、大根やそら豆、江戸東京野菜・のらぼう菜のほか、ビーツやカリフローレなど15種ほど。収獲した彩り豊かな野菜は、県内のフレンチレストランなどで使用されるほか、県外のオーガニックスーパーなどに出荷している。
「つちとて」には「土を育てる。そして、ヒトとヒトをつなぐ信頼」という想いを込めたと代表の寺田崇志さんは言う。
「緑肥を育てるのが好き」という寺田さん。聞いた瞬間、頭の中が混乱した。農業の知識がない私にとって、初めて知った言葉「緑肥」。生きた肥料とも呼ばれ、栽培した植物を収穫せず、そのまま土壌にすき込み肥料とすることで、地力を高めることができる。寺田さんは、野菜を栽培する前の畑や、野菜を栽培する畝と畝の間に麦などの緑肥を施す。さらに、規格外の野菜は収獲せず、緑肥とともに全て土壌にすき込む。「より健康的な野菜が生育することができる環境を整えていくため、土を育てていくことが僕の仕事」と語る。1品目ごとに栽培暦を作成し、場所や時期、量などこと細かにスケジュールを管理。もちろん緑肥のタイミングも暦に記載。年間を通した野菜づくり、土づくりにかける寺田さんのこだわりが窺える。
食べることが好きという寺田さん。アレルギー体質だったことも関係し、「食」に関わる仕事で独立したいという思いが昔からあったという。まず興味を持ったのは「調理」。各務原市職員として働きながら、休日にレストランで学んだこともあったそうだ。その後、29歳でプロボクサーライセンスを取得した寺田さん。減量中の食事を管理する中で「食材」、その中でも「加工品」に興味を持つようになったという。そこで、ソーセージ加工の技術を習得するため、仕事を辞め単身ドイツに渡った。日々の食材を求め立ち寄るスーパーマーケットで出会うオーガニックの野菜。ドイツのスーパーには、必ずオーガニックコーナーがあるのか常で、ごく普通のこと。ドイツでの暮らしの中で、最終的に「食」の原点である「生産」に行き着いた。帰国し、兵庫県にある学校へ進学して有機農業を1から学んだ。卒業後2年間、神奈川県にある有機農家のもとで働きながら、農業経営者としてのノウハウを学び、2023年に就農した。
師匠が自分にしてくれたように、将来は次代を育てていきたいと語る寺田さん。日々、自然と向き合い大地に立つ。






