鮮やかな黄緑色のミントの葉にそっと指先で触れる。途端に香りが立ちのぼり、太陽のイメージが部屋を満たしていく。懐かしい幼い頃の記憶と、未知の感覚。ハーブの香りはそんなワクワク感を引き起こす。
今回、お話を聞いた中澤茉未さんは、各務原の公園やまちの人たちに惹かれ、2021年に移住。株式会社日本温浴研究所に入社して、ハーブガーデンを担当している。栽培したハーブは、恵みの湯のサウナに利用したり、入浴剤として加工されるなど、身近に目にし、触れることが出来る。驚いたのは、真夏の暑い時期でもほとんど水やりをしていないということ。一日中エアコンの効いた部屋で今夏を過ごした私には、想像もできない。植物の強さは計り知れないものがある。
彼女の「農業の歴史」は、小さい頃からおばあちゃんが畑を作っていたことに始まる。その後、当たり前のように農業高校へ進学し、大学では農業に関わる文化やまちづくりなど総合的な農村計画を学んだ。種から食べ物を生み出せる凄さを肌で感じ、植物を通じた人との繋がりを実感している。
地元である岐阜の農をおしゃれに発信し、植物を中心にたくさんの人たちが集まる大きなコミュニティを作ることが、人生の目標だという。
SDGsという言葉が聞かれるようになって久しいが、彼女の話を聞いていると持続可能な社会は純粋なコミュニティの形式から始まるような気がしてきた。自分が持っているものを分け与え、持っていないものは分けてもらう。人も植物も、地球全体でギブアンドテイクな関係を築けば、いろんなことが永く引き継がれていくのではないだろうか。
「土や植物に触れていると魂が喜ぶ。自分でも説明できないほど生き生きとする。」彼女は、五感をフルに使って生きている。
ふわりと種が飛んできて、土に根を張り、日差しを浴びる。雨が降って、風が吹き、虫や鳥たちが集まってくる。住みたかった各務原に暮らし、好きを仕事にして仲間を増やしていく。
ハーブと彼女はどこか似ている。葉を広げ、小さなつぼみがついた時には、そうっと行って一緒に風に吹かれたい。
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