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暮らしに寄り添うモノづくり。

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暮らしに寄り添うモノづくり。

tokotowa店主

小林 照尚コバヤシ テルナオ

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2022.05.23

人を感じられる場所  市内の東西を走る名鉄各務原線のそば、賑やかな住宅街の中。ここに、家具職人である小林照尚さんの工房・tokotowaがある。取材時はちょうど祝日で、工房の前をたくさんの人が行き交うのを目にした。大きなガラス張りの窓からの眺めは、様々な人の生活が感じられる。閑静な山奥でなく、この場所に工房を構えた小林さんの人柄がうかがえる。

“らしさ”溢れる工房へ 工房の中は木の良い香りが漂う。お手製の本棚には小林さんが好きだというSFの漫画、作業台のあたりには登山用のリュックが置かれていた。ところどころに小林さんの「好き」が並んでおり、なんだかこちらまでわくわくする。「改装当初は、お洒落を意識して読まない洋書なんか置いていたんですけどね。」好きなものを置くようになり、自分らしい空間へと変わっていったそうだ。

この工房をつくったのは、15年ほど前。紹介によりこの場所を借りられることになり、空き倉庫の床や壁に木を貼るところからスタートしたそうだ。床に木を貼るのは、足の疲れの軽減や道具の破損を防ぐことができるからという。見栄えだけでない作業環境への配慮になるほど、と思う。

匠への憧れと独立開業への道 小林さんは学生時代にデザインを学んだあと、ジャンル問わずいくつかの職を経験した。中でも置き薬の営業の仕事では、様々な経験と学びがあったという。営業は人とのコミュニケーションが大切な仕事。色々なタイプの人とコミュニケーションをとる力が身についたそうだ。仕事にどんどんのめりこみ8年ほど経った頃、長く育ててきた担当エリアを会社の都合で簡単に変えられる事に疑問を感じて、転職を考えるようになった。現場で人との関わりを大切にしてきた小林さんにとって、これがこの先を考える転機となる。

本屋の木工雑誌バックナンバーコーナーで’家具職人への道’という特集の組まれた記事を偶然見つけ、「これだ!」と。そこから、循環型社会を意識したものづくりを発信している稲本正さんの本と出会い、「オークヴィレッジ」を知った。感銘を受けた小林さんは、木工職人の道を目指す決意をした。「オークヴィレッジ」の主催するワークショップに仕事の合間を縫って通ったのち、広島に職業訓練校があると聞けば1年就学し、3年で独立する職人を育てる工房があると聞けば宮崎まで飛び、「指物工房矢澤」に弟子入りし、木工の腕を磨いた。地元に戻り、独立の準備をはじめたタイミングで、現在の大家さんに出会う。建具屋である大家さんはとても協力的で、開業準備期間には仕事や住む家を提供してくださったそうだ。今でも子供が遊びに行くほど良い関係だという。

永く生活に寄り添う家具 開業当初は、営業時代からまめに連絡を取っていたお客様から家具の制作依頼を受けたり、学生時代の友人の紹介でインテリアコーディネーターの方と出会い、カフェや美容院などの家具を制作したという。小林さんの作る家具はシンプルで自然。木材の節もできるだけそのまま使い、自然の良さを活かして植物性のオイルや蜜蝋などで仕上げている。木材に余計な塗装をしない分、メンテナンスもしやすく20年、30年と使うほど良さが出てくるのも特徴だ。最近では、小学校入学時に制作した勉強机を大学の寮でも使える様にメンテナンスし、綺麗に塗装し直したそうだ。私も実際に腰かけを触って、座ってみてその心地よさに驚いた。

制作は、お客様の好みやアイデアも受け入れながら作り上げていく。効率を優先し「提案」や「オリジナル」をあまり受けない職人も多い中、小林さんは「お客様のアイデアも自分の引き出しを増やすきっかけになる」と、提案への責任を持ちつつ自分らしいスタイルを続けている。

「ちょうどいい」が揃った町 そんな小林さんは、山登りや映画、銭湯巡りなど実に多趣味だ。仕事以外の時間も大切にし、思い立ったら一人でも行きたい場所に出向くというアクティブさ。ここ各務原は、自然がありながらも様々なコンテンツが身近に充実し、暮らすのにちょうど良いまちだという。

「将来はもっと自分の時間をつくり、木工教室のようなものをゆるくできれば」と小林さん。これからもたくさんの人の日常にtokotowaの作品が寄り添っていくことを、楽しみにしたい。

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2022.05.23

WRITER PROFILE

村瀬 恵里佳MURASE ERIKA

食べることが大好きで、市内外の美味しいもの巡りをしています。 ライターを通してたくさんの繋がりができ、各務原での活動がより一層楽しくなりました!美味しい情報随時募集中。

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