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この土地のアイデンティティを次代へ。

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+design studio

アレサンドロ・セニガリエズィAlessandro Senigalliesi

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2018.04.05

川島に、かつて撚糸業を営んでいたのこぎり屋根の工場が併設する古民家がある。そこに、ひとりのイタリア人男性が移住したことをご存じだろうか。彼の名は、Alessandro Senigalliesi(アレサンドロ・セニガリエズィ)。インテリアコーディネーションからブランディング、プロダクト制作まで手掛ける「+ design studio」を運営するマルチデザイナーだ。友人たちは親しみを込めて、彼のことをアレさんと呼ぶ。

ミラノ出身の彼は、13才からデザイン学校で学び、「バウハウス」「アヴァンギャルド」「和」など、ミニマルなスタイルに惹かれていったという。イタリアでは、インテリアデザインを生業とし、数々の有名ブランドとも仕事をしてきた。文化リサーチで日本を訪れた際、日本が誇る繊細な技術や詫び寂びを重んじる精神に触れ、この国で暮らし始めることを決意する。

彼の創作活動の幅は広く、アナログ感を活かした版画をスキャンしたさまざまなプロダクトから陶芸作品の制作など、多岐に渡っているが、どの作品も彼ならではのアレンジがみられる。「もっとフォーカスしなきゃね。」とアレさんは笑う。芸術において、作家に作品の意義などを不躾に尋ねるのはご法度であるが、「何を一番大切に、創作活動をしているのか?」とあえて聞いてみた。「長く使えるものを作りたい。そして、この技術を次のジェネレーションに伝えたい」。質の高いものを長く使う考え方や、大切なものを継承する風習は、日本では昔から美徳として保たれてきた。しかし、最近では徐々に失われつつある。彼の答えに、ふと「日本人より、日本人らしいイタリア人」という言葉が思い浮かんだ。穏やかだが凛とした佇まいに、昔の日本人の姿が重なったからだ。

現在の場所に住みはじめたのは、昨年の11月のこと。創作活動ができる家を探していたところ、のこぎり屋根の古民家と運命的な出会いをする。「土地のアイデンティティを感じたよ。」アレさんは語る。撚糸業が盛んだったまちの歴史、その建物が伝える何百年とつづく形の意味、そして、その場所でつくる作品、すべてに意味があるのだという。

「川島は、緑いっぱい、公園もいっぱい。建物もキュンキュンじゃない。大好き。」と語る。この工房は、これからラボやギャラリーとして、リノベーションしていきたいのだという。そこではデザインの世界を勉強するためのワークショップを開催する予定だそうだ。エリアのヒストリーを引き継ぎ、次代を見据える彼の活躍に期待したい。

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2018.04.05

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