「各務原は、今では第二の故郷です」。そう語るのは、学芸員の長谷健生さん。各務原に関する史料を読み解き、現代に蘇らせている。長谷さんは兵庫県西宮市出身。小学生の頃、織田信長の本を読み、歴史に興味を持ったという。大学・大学院では、日本の中世の歴史研究に没頭した。
子どもの頃の夢は歴史の教員になることだったが、大学時代の恩師の「実際に出土した土器等を用いて、本物を見せる授業を行うことで、歴史に興味のない人でも耳を傾けてくれる」という言葉にハッとしたという。「本物の持つ力はすごい。本物を研究し、その素晴らしさを伝える仕事をしたい」と学芸員の道に進むことを決めた。そんな時、各務原市の学芸員募集を知った。「最初、各務原の読み方もわかりませんでした(笑)」。願書を提出後、兵庫県から足を運び、まちの歴史に触れたことで、ここで働きたいという気持ちが強くなった。そして長谷さんの各務原での生活が始まり、3年が経つ。
「史実を踏まえて、自分たちのいる地域の昔と今がつながっていることを伝えたい。それが一番面白いはずだから」と長谷さん。多い時は月に6回、市内の小学校で出前授業を行い、歴史の魅力を伝える。依頼のあった地域に密接した話題を入れることで、歴史をより身近に感じてもらえるよう工夫するのが、彼のこだわりだ。「面白そうに話を聞いてくれることは何よりも嬉しい。出前授業で子どもの頃の夢も叶った」と笑顔を見せる。
各務原は、歴史研究の材料が豊富な地域である。文献だけでなく、直接足を運んで得られる情報は、歴史を紐解く上で欠かせない。そうした調査の際、まちの人たちはとても親切で「よく来たね」と温かく受け入れてくれ、研究がしやすいという。
「僕のような“よそ者”だからこそ感じられる、面白いことって意外と多いんです。」その土地に慣れてしまうと、本来の魅力に気づけなくなってしまうことがあるようだ。初めて各務原に来た時の新鮮な気持ちを持ち続け、よそ者の視点で各務原の面白いことにアンテナを張る。そうして発見したことは、驚きだけでなく、全国に誇れる市の魅力になると考える。
現在は、13世紀に起きた「承久の乱」の戦場となった前渡地区の調査に取り組む。地域の魅力はまだまだ眠っている。10年後、20年後もよそ者視点を持ち続け、これからもそんな歴史を見つけて伝えていきたい。その気持ちが、彼を動かしている。
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