
前渡東町に、一般的なものとは異なる大きなビニールハウスがある。そこがミニトマトを育てるはしもと農園だ。若き代表を務めるのは橋本涼さん。愛知県から各務原市に移住し、羽場町で花のハウス栽培をしていた場所を自身で改装し、ミニトマト農園を開園。2018年、前渡東町に2つ目の農場を開園した。
学生時代に農業の知識を身に付ける中で、施設園芸に興味を持ち、施設園芸が盛んで、トマトの輸出大国のオランダに向かい、その製法や技術を1年間学ぶ。大きなガラス温室は「ダッチライトハウス」と呼ばれており、オランダではよくみる光景だ。コンピューターを導入したIT化やデータを活用する栽培方法により、気象条件が厳しい地域でも安定した収穫につなげることができる。それが耕作地面積の狭いオランダが世界屈指の輸出大国となっている要因の1つにもなっている。はしもと農園もこの製法を採用。これは岐阜県内でも1つしかないのだとか。ハウス内は、眩しいくらいの光が多く取り込まれ、湿度や温度が管理され、ミニトマトは5m近くまで高く育っていた。それにミニトマトがたわわに実り、緑から赤に色づき始めていた。
各務原市出身でもなく、実家が農家でもない橋本さんがなぜ各務原市で農業の道を選んだのか、、、。「農業界を盛り上げることが目的なので、トマトだけにこだわってなかったです。いちごも好きなので、いちご農家の選択肢もありました。」と笑いながら語った後に、「当時はトマトに含まれる成分が健康に良いと人気があった。さらに単位面積あたりの収益率、市場性を加味したとき、トマトの方が新規就農には適していると考えました。」と語る姿に経営者としての顔が垣間見えた。
農家の担い手不足という課題に、「日本の農業が産業として成り立っていないというイメージが根付いてしまっている。若者の就職先の1つになぜ農家という選択肢が入らないのか。農業の良さを知ってもらうために、自分たちが率先して伝えていきたい。」とこれからの農業の在り方についても語ってくれた。
市場に流通できないミニトマトの規格外品を使用した6次産業となる加工品の製造や、羽場町にあるもう一つの農場で、なんと当初から考えていたいちご栽培もスタートするという新しい展開をみせている。
「自分たちが住むまちが面白くなるために、移住者目線で各務原市を盛り上げたい。」と地域のコミュニティにも多く顔を出す橋本さん。2018年には、各務原市でつながったメンバーと、地域を盛り上げる団体『pin』を設立。この団体では各務原のヒト・モノ・場所など、まちのいい部分を発掘・創造しながら人との交流拠点‘pin’を増やしていく活動をしていくそうだ。今後、農場も拠点とする、老若男女問わず集まれる空間を提供するという先のビジョンを見据え今を動いている。
寒空の下、半袖姿で、光いっぱいのハウスの中へ入り、汗を流す外から来た若き経営者の後ろ姿は、エネルギーに満ち溢れ、各務原市でこれから始まる面白い動きに胸を躍らされるばかりであった。
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