ワクワクを連鎖させる
クリエイティブ・チームが各務原にひっそり誕生。
各務原市には「マーケット日和」という行政と民間、市民が協力し合って企画運営されている人気イベントがある。さらにその活動から派生した形で「かかみがはら暮らし委員会」という組織が生まれ、会場であった学びの森内に「KAKAMIGAHARA STAND」という名の新たな飲食施設もつくられた。今回取材させてもらったのは、その「KAKAMIGAHARA STAND」や「マーケット日和」などをきっかけに知り合った年齢も職業もバラバラの男女7名。彼(彼女)たちの名前は「Pin(ピン)」。12月にクリスマスをテーマとしたマーケットイベントを同じく学びの森で開催する予定だという。各務原に新たに登場したこのチームは一体何者なのか? メンバーの橋本涼さん、楠拓也さん、小林里帆さん、横山裕一さんに話を伺った。
ーでは、最初にみなさんの自己紹介からお願いします。
橋本:僕は各務原でトマトをメインとした農業をやっています。基本的には栽培と販売をしてるんですが、かき氷店をやったり、はしもとアイスストアっていうアイスをメインとした飲食店をやり始めました。(橋本さんの紹介記事はコチラ)
小林:私は普段は会社で事務職の仕事をしています。休みの日はフィルムカメラが好きなので写真を撮りに出かけたりしています。
楠:絵画教室とドライフラワーのお店を各務原でやってます。僕は福岡出身なんですが、大学が名古屋で、結婚して子供が生まれるタイミングで妻の実家が岐阜だったこともあって、各務原に移住してきました。(楠さんのお店の紹介はコチラ)
横山:僕は、あとから入りました。大学3年生なんですけど、今年の4月までオーストラリアでコーヒーの修行をしていて、バリスタになりたくって。で、各務原に帰ってきたときに「マーケット日和」で「かかみがはら暮らし委員会」で、現在は「Pin」メンバーでもある戸髙翼くんと知り合い、この公園の近くで「パークマーケット」ってイベントで「Pin」の皆さんと知り合いました。「マーケット日和」とはまた別の使い方で公園を利活用していこうとしていることにが、何か魅力的に思えて、僕も加入しました。
写真左から各務原市で「ドライフラワーと絵画教室 siroi」を営む楠拓也さん(31)、フィルムカメラが大好きなOLの小林里帆さん(22)、「はしもと農園」代表を務める橋本涼さん(33)、バリスタを志し海外への留学経験を持つ大学生の横山裕一さん(21)。取材当日は来れなかった他3名もあわせて現在「Pin」は全7名。
ーではこのメンバーでなぜ「Pin」という団体が誕生したのか? きっかけについて教えてもらえますか?
橋本:2018年11月に結成しました。きっかけは今日の取材場所でもあるここ、「KAKAMIGAHARA STAND」で「寄り合い」っていう、特に何もテーマを決めずに集まりたい人が集まる、そういったイベントがあって。そこで僕と楠さんがまず知り合って。僕は愛知県の小牧市の人間なんで、外から各務原市というまちのいろいろな活動を見ていました。で、楠さんも福岡から来た人だったんで、二人の共通項として「外からの視点を持った人」だなと思って。だからこそ何かおもしろいことができるんじゃないかって直感的に思ったんです。そこに、小林さんのようにもともと住んでいる人も加わり、一旦外へ出て、また戻ってきた水野さんとか、横山くんのような若者も増え、バラバラの立場の人たちが集まりだして……。さらにみんなそれぞれ職能も違っていて、なんかいろんな切り口を持ったおもしろい集団になってきたぞ、って。そのまま定期的に集まるようになって、イベントをやろうって話になっていった。そんな流れです。
楠:ちなみに、「Pin」という団体名の由来は、MAPに立てる「ピン」のことで。自分たちの知らなかった場所や、みんなの知らない場所なんかをどんどん紹介していきながら、白地図にピンを立てていくような感覚で動いていけたらなと思って、そういうイメージで名付けました。
ーこの公園をきっかけにいろんな経緯でみなさんが知り合って、その場所でイベントをやるって流れは不思議でおもしろいですね。
橋本:11月に結成した流れでじゃあまずは12月になんかやってみようってなって。この公園は冬はイルミネーションが灯るんですけど、最近あんまり人が来ていないように思えて……。
楠:夜の公園の使い方っという部分があまりうまくいってないな~って思ったんですね。
橋本:夜の公園ってちょっと怖いしね。でもそこであえてクリスマスのイベントをやるっていう。去年は昼間開催だったんですけど、今回は夜にやります!パロルっていう星型のフィリピンの伝統的なクリスマスのオーナメントがあって、それをワークショップでつくって、公園内の木に飾り付けをしよう!っていうのが今回の目玉です。3回のワークショップを経てつくったパロルをみんなで飾ります。前回のワークショップには15人ほど参加してくれました。(ワークショップの様子はコチラから)
楠:「クリスマスマーケット」自体は、今年で二回目で、去年はプレイベント的な感じでやりました。今回は20店舗ほど出店してもらいます。
ーなんでパロルに着目したんですか?
橋本:フィリピンから来たマイケルっていう大学生の子と、「KAKAMIGAHARA STAND」でパロル作りのワークショップをやっているときに知り合って。パロルってフィリピンではクリスマスシーズンのポピュラーな飾り付けらしいんですけどね。聞いた話ですが、海外から日本に来た子どもたちって、やはり日本の学校に馴染めずに中卒って子も多くいるのが実情みたいで、マイケル自身もやはり疎外感っていうか居場所がないって言っていて。もっと海外の人が前に出られる機会がほしいって話もしていたんですよね。で、僕も海外留学した経験があって、その時にアジア人ってだけでよそ者扱いされたことがあったから、そういう意味ではシンパシーを感じて。彼のような外国人も活躍する場をつくってもっと住みよい環境にしてあげたいなって気持ちが、今回の「クリスマスマーケット」にはありますね。だから、彼の周りの海外から来た方々も遊びに来てほしいですね。
ー「Pin」のメンバーが偶然にも出会って仲間になっていったように、イベントでもいろんなひとたちが集まる場をつくりたいって思いが見えてきますね。今後の活動として何か次の企みとかはあるんですか?
楠:夏のイベントとして出ている案は、水鉄砲をつかったサバイバルゲームみたいなのあるじゃないですか。あれをこの広大な公園でやれたら楽しいよねって話しをしていました。
ーなるほど~。それ、各務原の自衛隊の人たちと対戦したらおもしろそうですね!?
橋本:自衛隊!強そ~(笑)。
横山:決勝戦は自衛隊チームと戦ってもらいましょう(笑)。
楠:「Pin」としては、イベントだけをやりたいってわけではなくて、僕自身のアトリエも空き家を改装してつくったんですが、「Pin」でも何かそういう場をつくりたいとも思ってますね。あとはみんなそれぞれの本業でやりたいことを発信するのに使ってもいいかなとも思いますね。僕だったら絵画教室をやっているのもあって、あともうひとり「クリスマスマーケット」のイラストを担当してくれているアーティストの水野鈴乃っていうメンバーがいるので、やっぱりもっとアートに触れ合える場をつくりたいなって思ったり。
橋本:あと、空き家を使って何かしらの場をつくりたいなって。空き家問題はいろんなところで地域課題になっていることなので、各務原に限らず、自分たちの場所はつくっていけたらなとも思いますね。どんどんPinを立てていくような感じで。旅行に行くっていうか、そこのPinめがけてそこにいる仲間に会いに行くみたいなことになったら楽しそうだなって。
ー「Pin」の拠点がどんどん増えていくってことですね。
橋本:そうそう。新しいまちとか地域にいきなり入っていけないな~って思うんですけど、そこに通じ合う仲間が居てくれたらその地域との交流がよりスムーズにいったりするかなって。あと、横山くんの実家の裏に空き家があって、昨日そこで集まって焚き火をしてたんですけど。焚き火を囲むって何かいいじゃないですか。毎日、焚き火したいっすね。
ー空き家で焚き火って、火事になりそうです(笑)
橋本:大丈夫。横山くんのお父さん、消防士だし!
横山:ちょっと(笑)!
小林:あ、あと、その話の流れで、映画の上映会をやりたいなって思いました。
橋本:そうそう!この公園をつかって大きく映画祭みたいな感じでやってもいいかもね。タイトルは小林映画祭で!
小林:(笑)。
ーみなさん、普段からめっちゃ集まったりしてるんですね(笑)。なんか年齢もバラバラなのに、楽しそうです。こういうコミュニティが自然発生的に生まれて、お互いにおもしろそうなアイデアをポンポン出してさらにそれを形にしていくって、すごいクリエイティブだな~って思いました。
橋本:組織は人材が全てなんでね(笑)。
楠:今のところは「Pin」の活動が重荷になるようなノルマみたいなのもないですしね。
橋本:そうだね。単純に集まって飲むのが楽しいって感じですよ。次のクリスマスマーケットもそれを肴に飲むきっかけ、みたいなノリもありますし(笑)。でも、こうやってワイワイやりながら、「Pin」から生まれたアイデアで、そのままメンバーの誰かが起業しちゃうなんてことにもなったら、さらに楽しくなりそうだなって思います。
クリスマスマーケット
2019年12月14日(土)、15日(日)※雨天中止
時間:16:00~21:00
会場:学びの森(各務原市那加雲雀町10-4)
詳細:https://ourfavorite-kakamigahara.jp/cms/2019/12/09/7256/
武部 敬俊LIVERARY
名古屋を拠点に、ローカル/カルチャートピックスを日々発信/提案しているウェブマガジン「LIVERARY」編集部の武部です。岐阜県各務原市の魅力を市民協働で発信していくサイト「OUR FAVORITE KAKAMIGAHARA」をお手伝いしています。市民ライターの方々と楽しみながら記事を制作していきたいと思っています。どうぞよろしくです。