JR蘇原駅の側、住宅地の一角に佇むフランス料理店「bistro de corazon」。民家の一部をお店にした外観は、一見アットホームな雰囲気を醸しているが、整えられた庭、ドアから覗ける店内の様子などから、歴史と風格を備えたフレンチのお店だということが伝わってくる。
店内は、決して華美でなく、シンプルでモダンな調度品、テーブルに飾られた可愛らしい花など、落ち着いた雰囲気が心地よい。この空間の中でいただく季節を感じる料理は格別だ。
シェフ・高橋慶景さんが特にこだわりを見せるのは、前菜のパテ・アンクルートだ。「すごく手間がかかるんですけどね。」高橋さんは笑う。フレンチは、時間と手間がかかる料理である。その中でも、パテ・アンクルートは「料理人の力量を測るに相応しい難易度の高い料理」として知られる。
「いまは他のお店では、あまり見ませんね。」と高橋さん。その心には、綿々と紡がれてきた歴史の重みが詰まった料理の底力を伝えたいという想いがあるのだろう。細かな工程を惜しまず、丁寧に作られた料理は、素材の旨味が存分に活かされた美しい一皿へと変わる。
そして、この美しい一皿は、是非ともシェフが合わせてくれるワインとともにいただいてほしい。ワインと合わせることを考えて作られた料理とシェフ一押しのブルゴーニュ産ワインの相性は抜群だ。ワインによって料理も別の表情を見せてくれる。
「bistro de corazon」は飾らず、一つひとつフランス料理のかくあるべき姿を伝えようとしているところが魅力だ。「corazon」とは「心」。来店される方には、こだわり抜いたシェフの「心」を是非感じてほしいと願う。