楽笑はいわゆる魚屋さん。でも、僕がよく知っている魚屋さん、冷蔵ケースの中にパッキングされた切り身や干物が規則正しく並んでいる、とはちょっと違う印象だ。コンクリート打ちっぱなしのフロアに雑多に並べられた発砲スチロールのケース。それぞれのケースの中には氷が敷き詰められ多種の魚のほか、イカ、セルガキ、カニ等が並べられている。まるでテレビとかでたまに見る鮮魚市場の一角が店内に引っ越してきたかのよう。
「スーパーのお魚コーナーに並んでいるものは売ってないよ」社長の舟橋優樹さんは言う。多少高くてもいいもの、おいしいものが楽笑のコンセプト。正直少し値が張るなあなんて思いながら、僕も柵売りされていた本マグロをゲット、実際に食べてみた。食べたら納得、皆さんがリピートする気持ちが理解できた。晩酌のつまみにと刺身をもとめて1人で訪れる男性客が多いというのも頷ける。ちょっといいものを食べたい人がくる。ちょっといいものを「期待」してくるんだと言う。信じて通ってくれるお客さんたちを裏切らないよう、飽きさせないように舟橋さんは常に旬のもの、新しいものを探しているんだそう。
この日もカウンター、レジの左隣に見慣れないものが並んでいた。どうやら魚のヒレのようだ。プライスタグには「静岡県産クエ 税込680円(時価)」と書かれている。クエのヒレ。食べられるの?しかも680円。結構いい値段するじゃん。「どうやって食べるんですか?」看板娘の日比野順子さんに聞いてみた。どうやらヒレ酒に使うらしい。フグのヒレと同じ要領で、熱々の日本酒に入れるんだって。ヒレ酒は好きだけどクエのヒレが代替になるとは知らなかった!順子さんも「得意先の飲食店の方が教えてくれたんですよ」と笑う。常時あるものではないが、運が良ければこういった逸品にも出会える。インスタグラムのストーリーに随時アップされるそうなので要チェックだ。他にも食べたいものがあれば、とりあえず順子さんに聞くと良いんだとか。
毎日来てくれるお客さんもいる。舟橋さんの楽しみの1つは、お客さんと魚の調理法、食べ頃などについて情報共有すること。もちろん舟橋さんがおススメの調理法などをレクチャーすることが多いんだけど、食材の調達に訪れる料理人の方も多い関係上、逆に教えてもらうこともしばしばあるそうだ。教えてもらった調理法を自分で試してみて美味しかったら他のお客さんにも案内する。そんなサイクルの中で楽笑は成り立っている。前段のクエのヒレだって、そんな会話の中から取り扱いが始められたものだ。
一般の利用客の皆さんの他にもここ各務原に店を構える居酒屋、レストラン、寿司店などと共に成長してきた楽笑。
小さな店舗で営業を始めた20代の頃から通ってくれている、助けてくれたお客さん達が店を続けている間は楽笑を続けていきたいと舟橋さん。新しいことも色々考えているみたい。「まとまってないから・・・」と詳しくは教えてくれなかったが、今後もここ各務原で美味しい話題を振りまいてくれることは間違いないだろう。
鮮魚の楽笑
鮮魚の楽笑 センギョノラクショウ
各務原市鵜沼大伊木町2-64-2
営業時間:10:00~18:00
定休日:年中無休
TEL:058-370-0810
Instagram:@rakusyo_sakana
南村 高志MINAMIMURA TAKASHI
1979年生まれ。会社員、2児の父です。音楽好きで週末の夜は柳ケ瀬界隈のライブハウスに出没します。市民ライターへの応募はOFTにタダで入れるのでは?との不純な動機からでしたが、まじめに各務原市のヒト・モノ・コトを発信していきます。