鵜沼第三小学校東門前に新築のかわいい店ができた。名前は岡田屋。かつて、この場所にあった文房具屋さんの店名と同じだ。さっそくのぞいてみると、今はパンと玄米団子を販売する店のようだ。
木枠のショーケースにかわいらしいパンが並んでいる。四角い小さな食パン、丸いパン。形もかわいい。
玄米団子を注文してみる。しばらくして、味噌、醬油、あんこの三色の焼き立てが提供された。
店主は岡田郷太さんと、奥様の則子さん。郷太さんのお母様がここで昭和50年から平成13年まで文房具、パン、菓子、雑貨、クリーニング、タバコなどを扱う店を営んでいた。店の少ない新興住宅地。子どもたちだけでなく大人たちにもにぎわったという。運動会では冷たい飲み物の供給が間に合わず、自宅の冷蔵庫も使って冷やしたとか。お母様は子どもたちの名前を覚え、岡田屋のおばちゃんと慕われたそうだ。しかし、急逝し、やむなく閉店することになった。
今回、郷太さんが退職するにあたり、誰もが気軽に立ち寄れる昔の岡田屋のように愛される店にしたいと、思い出のこの場所で同じ名前で開店した。
では、なぜパンと玄米団子を?
則子さんは近くにある自宅でパン教室を開き、保健所の許可を取り、注文を受けるとパンを作って販売もしていた。郷太さんは「高齢化により周辺の店舗の閉店が続いていたこの地域で店を再開することは、地域の安心につながるかも」と考えた。かといって、自分は何もできない。夫婦で話し合い、妻の得意なパンを、そして玄米団子を選んだのは、「小麦アレルギーの方でも食べられるようにとの思いだった」と話す。
ショーケースの中にあるかわいらしいパンの中からブルーベリーボールをいただく。なんと、ブルーベリーは庭先で栽培しているとのこと。生地にも練り込まれ、美しい紫色。酸味が良いアクセントだ。
商品の札にはアレルゲン情報が明記され、さらに色分けされている。高山産の麹味噌などといった健康に良いとされる発酵食品を生地やフィリングに使ったもの、岐阜県産はちみつを使ったものなどに分類され、則子さんの健康への配慮を垣間見ることができる。
店内には郷太さんのご両親の作品が飾られ、ギャラリーのよう。「スペースがあるので、地域の方の作品を飾り、交流の場としたい」と郷太さんは語る。ショーケースの上では、家が一つもない造成当時の新鵜沼台とすでに家がぎっしり建ち並ぶ鵜沼台の写真が懐かしさを伝える。
思い出をつなぎながら、新しく生まれ変わった岡田屋。もう大人になった方も思い出の店に行ってみてはどうだろうか?
二代目 岡田屋
二代目 岡田屋 ニダイメ オカダヤ
各務原市新鵜沼台4-51
営業時間:11:00~17:00
定休日:月曜日、火曜日
TEL:058-370-1571
WEB:http://www.md.ccnw.ne.jp/~ad16853/index.html
篠田 雄一朗SHINODA YUICHIRO
岐阜市生まれ、東京育ち。親の介護のため帰郷。2019年3月に岐阜市ではなく、あえてあまり知らない各務原市にJターン。各務原の良さを知り、発信していけたらと思います。