
街路樹の立ち並ぶ緑豊かな通りに、ひっそりと佇む小屋がある。その小屋は「小屋開き」として月に数回だけ扉が開く。「何のお店だろう。」と、通りがかりの人々も思わず窓から中を覗く。扉を開けば大きな窓から降り注ぐ街路樹の木漏れ日を浴びて輝くジュエリーが並ぶ。ここは小椋亜矢さんが手掛けるジュエリーブランド「MAYAM」のショップである。
小椋さんがジュエリーを作り始めたのは学生時代。社会人になってからも、仕事の傍らオーダーメイドの作品や自分の作りたい作品を作ってきた。その時々により使いたい素材を選び、想像を形にする。そんな素材ありきのモノづくりが、小椋さんの制作のベースになっているのだという。
作品づくりは、ひとたびアイデアが浮かんでこれば、忙しかろうと夜中だろうと制作に取り組む。「感覚の仕事であり、後回しにしてぼやっとしてしまうのが怖い」と笑顔で答える。明るく優しい人柄の裏に、職人としての強い意志とこだわりを感じた。
小椋さんの作品は、素材を活かしたシンプルなデザインが中心だ。コーディネートにも取り入れやすく、世代問わずファンがいるのも頷ける。ひとつひとつ手で仕上げられる繊細さの中にも、石やシルバーの存在感がしっかりとあり、特別なものを身に着けている実感。外出をより一層楽しませてくれる。
小屋開きの他には、マルシェの出店やセレクトショップとのコラボレーション商品の販売を展開する。マルシェは新規のお客様にも気軽に立ち寄ってもらい、小屋開きは平日にゆっくりと選んでもらえるように、という想いも込められている。
「技術を上げ、変わっていかなければいけない、同じ場所にいてはいけない」と、常に上を目指す小椋さん。細部まで繊細に作られたジュエリーたちの中から、お気に入りのひとつに出会えた時は何とも言えない幸せな気持ちになる。どんな作品と出会えるのか、わくわくする気持ちで、小屋開きを待つのも楽しみのひとつだ。今月も扉が開くのを待つ人のため、世界でたった一つのジュエリーたちが生まれていくのだろう。
MAYAM
村瀬 恵里佳MURASE ERIKA
各務原在住。市内外の美味しいものを求めて巡るのが趣味。 住む町がもっと楽しく感じられるよう、たくさんの発見をしていきたいです♪