マスクとカバーグラスを着けると、自然とスイッチが入る。溶接機を体の一部のように扱い、火花を散らす。その音から、溶接の状態を掴む。鉄と会話をしているような、この瞬間が好きだ。
車好きな父親の影響で、小さなころから機械に触れてきた。黙々と作業をすることが自分に合っていると、高校では機械科を専攻。そこで溶接に出会い、この道に進もうと就職を決めた。
溶接の面白さは、溶接時に鉄が動き曲がることにある。その修正作業は、鉄からの挑戦を受けて立つ思いだ。鉄板の厚さや溶接のスピード、大きさに合わせて電流・電圧を調整。部材を溶接し、製品を作っていく。完璧な製品は美しい。美しさを追求するには、精度の高い溶接が求められる。万全な状態で次の工程に引き継ぎたい。一つ一つの積み重ねが、会社の信頼につながっていく。
入社して15年。順調だったわけではない。「叱り」を受け入れられず、辞めることも考えた。踏み留まれたのは、相談にのってくれた上司や先輩の存在。「期待の裏返し」の言葉に気持ちが軽くなり、期待に応えようと邁進してきた。無二の存在を目指し、溶接の技術を磨いている。
最近、上司から「お前に任せる」と声を掛けられ、胸が熱くなった。「次は主任に」の声に、プレッシャーと嬉しさが入り混じる。緩みそうになる頬は、火花の音が引き締めてくれる。今日も鉄と会話を続ける。
(広報各務原 2020年5月1日号掲載)
【長瀨 雄基 ながせ ゆうき】
生まれも育ちも各務原。ゲームが大好きな33歳。毎年、金属団地の桜の開花を楽しみにしている。
株式会社鵜飼
株式会社鵜飼 カブシキガイシャウカイ
岐阜県各務原市金属団地114
TEL:058-382-1181
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