就職活動時、既に県外企業から内定を得ていた。でも、「どこで働きたいのか」を自問したとき、「18年間過ごした各務原で」と素直に答が返ってきた。今は、当時の自分の選択に間違いはなかったと確信している。

　わが社は、プラスチック部品を設計から成形、組立まで一貫生産している。各務原の工場で製造しているのは、全て車載部品。身近な部品であるからこそ、身が引き締まる。例えば、車のエアコンボタン。漆黒に塗装された部品の表面を、ロボットがレーザーで削っていく。裏面からライトを当てると、削られた文字や記号が光で柔らかく浮かび上がる。ロボットが行った仕事は手作業で確認しなければならない。精密な検査が、製品の信頼を勝ち取っていく。

　研修を経て配属された組立課は、部品の組付と検査が専門。レーザー加工に魅かれ、自ら希望した。今は、主に検査を任されている。当初は、「不良を出してはいけない」との過度のプレッシャーから、良好なものも不良扱いしていた。そんなとき、周囲の先輩から優しく声を掛けられ、少し肩の力を抜くことができた。そして、先輩から教わったのは「製品を見る」大切さ。普段から意識することで、視点が定まり、経験が自信につながるようになった。

　来年は、仕事の幅を広げ、自分の可能性や成長を感じたい。高鳴る気持ちを抑えきれないでいる。

（広報各務原　2020年3月1日号掲載）

【小川　雄也　おがわ　ゆうや】
鵜沼各務原町在住、23歳。岐阜各務野高校ではホッケー部に所属。長崎国体で準優勝した経験を持つ。