特製ソースで野菜を炒め、パスタを絡める。鉄板にひいた卵が固まる前に盛り付け、最後に麺をくるりと一巻き。自慢のナポリタンの完成だ。注文からテーブルに運ぶまで10分。「メニュー写真通りだ」。お客さんの言葉に、思わず笑みがこぼれる。

板前だった父の影響もあり、物心ついたときには母の料理を手伝うように。中学生のときには、母から教わったガトーショコラを作り、友人にふるまった。

そのときの友人の笑顔が忘れられず、卒業後は、調理師の専門学校へ。授業のコーヒー講習がきっかけで、その奥深さの虜に。「いつかは、自分の店でコーヒーを出したい」と思うようになった。

卒業後に、「さかい珈琲」へ。手作りにこだわるここなら、コーヒーと料理、両方を学べる。

入社当時は、忙しさに圧倒された。多数のメニューを覚えながら、注文から調理まで行う。焦りから調理に失敗し、お客さんを待たせてしまうこともあった。

店長からのアドバイスは「忙しくても慌てない」。自分のやり方を見直すことで周りが見えるようになった。そのとき、「相手を笑顔にしたい」。自分がこの道を志した理由を思い出した。

学ぶことはまだある。このお店で、たくさんの人を笑顔にしたい。その先は、きっと自分の夢につながっている。

（広報各務原　2019年11月1日号掲載）

【小森　友輔　こもり　ゆうすけ】
入社3年目の21歳。休日は、同僚に聞いた飲食店に足を運ぶなど、食べ歩きを楽しむ。