現場に来るのは午前８時前。拡幅工事中の路上を、たくさんの車が通り過ぎていく。道路が完成すれば、もっと便利になる。その光景を思い浮かべながら、今日も安全を願い、現場に立つ。

「匠が、古い家をリニューアルする番組が好き」。人が喜ぶ顔が見られるから。将来を考えたとき、自分も同じ道に進みたいと、建設業界の扉をたたいた。

入社初日、午後は市内を巡った。学びの森、各務原大橋、けやき通り。そして、工事中の現場。わが社が、市の魅力づくりに携わっていることに大きな喜びを感じた。２日目以降は、現場で研修。「分からなければ聞け」と言われたが、何を聞いていいのか分からない。強い口調で言われ、落ち込んだ。でも、「今の子は…」と言われたくない。現場監督のそばを離れず、目に入る全てのものを吸収する気概を持った。

３カ月が経つ今、考えて行動ができるようになった。滞りなく測量ができた。失敗を繰り返さなかった。一つひとつの作業スピードがアップした。監督の厳しい表情が時折緩む。成長を喜んでくれているのだろうか。

強い口調の理由が、今なら分かる。「無事故・無災害」で工事を終えるのが現場監督の務め。いち早く一人立ちすることを願ってのことだ。監督に追い付くには先は長いけれど、絶対に諦めない。この先には、多くの人の喜ぶ顔が想像できるから。

（広報各務原　2019年8月1日号掲載）

【小城原　啓己　おぎはら　ひろき】
野球、サッカー、バスケなど、小さなころからスポーツが好き。仲間と勝利を分かちあえるのが醍醐味。19歳。