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地域課題から見出された、正しくて明るい農と食。

FEATURE

地域課題から見出された、正しくて明るい農と食。

地域課題から見出された、正しくて明るい農と食。

廃棄野菜を使った新しいスタイルの地産地消に着目

2019.11.02

「廃棄野菜」って何?それは、一定の条件から外れてしまった「規格外野菜」のことだ。ひび割れた人参や、茎の折れたほうれん草、少し傷んだ玉ねぎなど。それらは「形が悪い」という理由から流通されることなく、そのまま廃棄処理される。しかしそんな「廃棄野菜/規格外野菜」は通常流通される野菜たちともちろん味は同じ、何より食べることができる。そこに着目した各務原市在住の一農家である林亮輔さんは、規格外野菜を加工した新しい食のブランド「HOKARUNO(ホカルノ)」を立ち上げ、農業生産法人 株式会社フォレストファームを起業した。さらに今年11月、規格外野菜を使ったカフェレストラン「HOKARUNO COFFEE(ホカルノコーヒー)」をOPENさせることに。この取り組みに対し、各務原市は、地域課題を解決する楽しさを体験するための市民参加型事業「各務原市まちづくり担い手育成支援事業2019」で、林さんを講師に迎え全5回のワークショップを展開。同事業の担当者であるまちづくり推進課の桒原さんと野村さん、そして「HOKARUNO」発起人であり、講師を務めることになった林亮輔さんのお三方に話を伺った。


写真右から、株式会社フォレストファーム代表の林さん。まちづくり推進課の桒原さんと野村さん。

 

―では、まず「担い手事業(各務原市まちづくり担い手育成支援事業2019)」はどんな意図でスタートしたのか?ってところから教えてください。

野村:自分たちが住んでいるまちの「地域課題」をまずは体験してもらって、じゃあそこからその課題に対してどんな解決法があるのか?ってところまで考えるきっかけになってもらえたら、と。6月にスタートして、12月までの間に全5回のプログラムを組んでいます。今回は「廃棄野菜」という地域課題をテーマに、すでに自らアクションを起こしている林さんを講師にお願いしました。

―「廃棄野菜」という問題が今回のお題ってことですが、形が悪くて捨ててしまっていた野菜をどうしたら活かせるのか?ってことですね。

野村:そうですね、林さんが立ち上げた規格外野菜を使った食のブランド「HOKARUNO」について学んでもらい、11月にオープンする予定の廃棄野菜を活かした料理店「HOKARUNO COFFEE」のメニューを参加者たちとともに考えていきます。前回のワークショップでは「この地域にはどんな廃棄野菜になる野菜があるのか?」をみんなに調査してもらいました。実際に、その目で地域課題を見てもらったということです。

―実際にOPENするお店に携われるって部分もおもしろいですね。

桒原:お店のメニューを考えてもらったら、最終日は地域課題について皆さんがどう感じたかを振り返ってもらっています。さらに、自分だったらどうするのか? これから自分は地域にどんな関わり方ができるのか? について参加者それぞれに考えたことを発表してもらい、これからの地域課題に対する取り組みを見据えてもらいます。

―なるほど。ちなみに、どんな人たちが今回のプログラムに参加しているんでしょうか?

野村:各務原市に住んでいる人に限らず在住、在学、在勤の方。あとは「各務原が好き」という方も対象にしています。

―今まで各務原に関わりがなかったような方も参加できる条件設定にしているんですね。

野村:そうですね。遠方からも来てもらっています。「各務原が好きな人」を募集の対象にしているのは特徴的かなと思います。結果、参加者20名でスタートしました。

―大学生や若い子が多いんですか?

野村:カフェの立ち上げの様子も見られるので、食物栄養学科や管理栄養学科の学生が参加してますね。林さんがメインで育てている農作物がニンジンということもあって、ニンジンをテーマの一つとして学んでいる栄養学科があってそこの学生さんは、結構多いですね。

桒原:若い人って自分が生きていくだけで精一杯でさらに奉仕ってなると大変だけど、楽しみながら自分も利益を得ながら、地域に貢献できるっていう内容であればモチベーションも続くんじゃないかと。

 


ワークショップの様子

 

―若い子たちにとってはいい機会になりそうですね。林さんは廃棄野菜を使ったメニューがあるお店を経営するところに行き着いたんでしょうか。

林:僕は最初、別の仕事をしていたんですが、父親がやっていたニンジン農家を継ぐことになって、いざやってみたら規格外野菜に該当する捨てなくてはならないニンジンがこんなにたくさんあるんだってことを知りました。そこで、その廃棄されてしまうニンジンを使った加工食品をつくるところからスタートしました。6次産業っていうんですけど、「HOKARUNO」っていうブランド名を掲げて、「ニンジンジュース」とか傷みが気にならないようなメニューに加工して販売したんです。次のステップとしてコンセプトをそのままお店に当て込んだ「HOKARUNO COFFEE」というお店を作ろうと思い立ったわけです。自分だけでなくて他の農家さんたちも同じ問題を抱えていると思ったので、前回のワークショップで参加者の皆さんにヒアリングしてきてもらいました。参加者の人たちには今回のプログラムのなかで、まちづくりのことを勉強してもらって今後に繋げていってほしいなと思っています。

桒原:2ヶ月間で9農家に回ってもらいました。今日はその発表の日です。どこの農家にどんな規格外野菜という課題があるのかを検証していきます。

林:今日は、「HOKARUNOカレンダー」というのをみんなに作ってもらおうと思っていて、そこからメニューを作ったり市内の飲食店で共有できたりするのかなと。それができるかわからないですけど、できたらいいなって思っています。

 


ワークショップの様子。

 

―廃棄野菜を使った加工食品ブランドって、何かお手本があったんですか?

林:いや、ないです。僕が農業をやるなかで、そういったことをできるんじゃないかなって気づいたものを形にしたんです。農家のことは農家にしかわからないので。飲食店と農家って隔たりがあって。自分は飲食店での仕事をした経験もあったので、だから思いついたのかもしれないです。地産地消や旬の野菜を食べるなど食育などにもつながってきますしね。うまく行けばいい前例になるのかなと。

―道の駅とかでたまにそういう傷みのある流通できない野菜を叩き売ってるとかは見たことありますね。

林:今まではそういう売り方しかなかったのかも。でも、B to B(企業間取引)で農家から飲食店に流通できるようになればそういう売り方よりももっと大量にやり取りできるので。コンテナに入れて一気に10キロずつ売ったりとかね。

―規格外野菜って、どれくらい出るものなんですか?

林:10トン作ったとして、そのうちの約5%が規格外になるので、1日で500キロとか出ますよ。時期によっては10%になるときも。だからいろいろ作ってる農家さんだったら規格外野菜だけで1トンとかになるんです。

 

 

―すごい量ですね。それはもったいない……。規格外野菜のB to Bは早く実現したいところですね。

林:まだまだ細かい課題があって、配送はどうするとか振込どうするとか。そういったことも解決できたらなと思っています。

―林さんはご実家が農家だから継いだとおっしゃられましたが、継ぐことに決めたきっかけって何だったんですか?

林:うちはずっとニンジン農家をやっていたんですが僕は最初はやる気なかったんで、デザインの会社に就職して働いていて。父親が体調を崩したんです。それで廃業するかどうかという話になって。父親から継いで欲しいって言われたので。初めて農業に興味を持って父親の話を聞いたら、自分でもできるかもしれないって気になって。基本、農家は残業ないですし夜は仕事しませんからね。そこそこちゃんと儲けも出ているようだったし。だったらサラリーマン辞めて農家もいいんじゃないかって思って。

―農家って早朝から肉体労働しなくちゃいけないイメージがあって辛そうだな〜って思ってましたけど、農家を継いだ友人に聞いたら「朝早いけど、その分ちゃんと昼寝する」って言っていました(笑)。思ってたより自由だな〜って。

林:そうですね。まあ、自分は農業やってみて、仕事っていうものの原点だなと思いましたね。土から野菜作って。朝早起きして体動かして、日が暮れたらゆっくりして寝るみたいな。サラリーマン時代に荒んだ自分の体が浄化されていく感じはありましたね。

―なるほど。ちなみに、規格外野菜の使い道としては? ジュース以外にもあるんです?

林:例えば、ニンジンはジュースでもサラダでも。規格外って言っても、ただ形が悪くてスーパーには置けないってだけなので。あと、加工屋さんも規格外野菜は嫌がるんですよね。

 

 

―刻んだり潰したらきっと味もいっしょなのに。そもそも規格外野菜って誰が決めるんですか?

林:僕たち農家も見ればだいたいわかりますね。ニンジンに関しては本当に規格外野菜の流通は難しくて。仕分けして10キロ単位で箱に入れて農協に持っていったら、引き取ってはくれるんですけど、全然お金にならないですしね。規格外野菜の問題は農協も頭抱えているんじゃないかなと思います。

―規格外野菜が普通に流通できるようになれば生産者も消費者も、農協もみんなハッピーってことですね。ニンジンって年中採れるんですか?

林:各務原の旬は5~6月と11~12月なんですね。年間を通して、産地移行があるので。九州が終われば四国、東海終わったら、青森など。だから年中ニンジンは流通しているんです。どんな野菜もそうですが、産地移行しながら常にスーパーに並べられているのが現状です。だからこそ、このプロジェクトが成功すれば、ちゃんと旬の野菜をお店では出したいと思っています。やっぱり野菜は旬が美味しいので。

―林さんは製造から加工、販売までできるわけですもんね。新しい農家の在り方であり、旬のものを旬に食べてほしいっていうスタンスは農家の考え方らしさでもありますね。

林:農家って野菜を作るのはプロなんですけど、野菜を売るとかPRするのはプロではないので。自分はそこが強かったのでそれをやっていきたいなと。

―このプログラムは次年度以降も、林さん以外の誰かを講師に立てて、シリーズ化も見込んでいるんですか?

野村:今は検討中です。また何か別の地域課題をきっかけに、自分にできる範囲での地域貢献を意識してもらえたら、市としてはうれしいなと思っています。

―林さんみたいな、素晴らしいお手本が各務原にいてくれたことは各務原にとっても良かったですよね。

野村:林さんを知るまで、こんな考え方や発想はなかったんで、驚きましたね。

林:まあ、僕は自分のやりたいことをやっているだけなんで……。各務原市の取り組みで審査員(各務原市まちづくり活動助成金)もやらせてもらっていて、色んな団体さんの活動を知ったんですけど、意識高い人が多くて自分もそこで刺激もらいましたね。各務原に住んでる方って、地域文化を守りたい、助けたいって人が多い気がしますね。

―各務原市は、行政と民間の関わり合いが活発なのは、そういう地域性もあるからなんですかね。

林:もっと田舎にいったら行政側がこういう取り組みをやらないような気がするし、都会に行くと今度はみんな自分のことで精一杯で地域の課題とかそういうのに関わってられないよ、ってなりそうだし。都会でもなく、田舎でもないから、ちょうどいい距離感で地域と住民が関わり合えるまちになっているのかもしれないですね。

―お店のOPENも楽しみにしています。今日はお話ありがとうございました。

HOKARUNO COFFEE(ホカルノコーヒー)

2019年11月OPEN予定!
営業時間:8:00 – 18:00
定休日:水曜日

2019.11.02
LIVERARY

WRITER PROFILE

武部 敬俊LIVERARY

名古屋を拠点に、ローカル/カルチャートピックスを日々発信/提案しているウェブマガジン「LIVERARY」編集部の武部です。岐阜県各務原市の魅力を市民協働で発信していくサイト「OUR FAVORITE KAKAMIGAHARA」をお手伝いしています。市民ライターの方々と楽しみながら記事を制作していきたいと思っています。どうぞよろしくです。

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