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各務原市役所庁舎。左が古いほう、右が新しいほう。
昭和48年に建てられた旧庁舎と、令和3年に完成した新庁舎高層棟。
市役所が2棟並ぶ姿はなかなか見られるものではないかもしれない。
庁舎を「器」に例えるとすれば、旧庁舎は土を感じる陶器、新庁舎はどこかキンとした磁器といったところ。
OFK編集部では、市役所チェアリングを企画。所々にノスタルジーを感じる旧庁舎の最後の思い出に、新庁舎を眺めることにした。
例によって、各自アウトドア用の椅子を持参。タイル張りの壁が可愛らしい。
前日までの天気予報が外れ、生憎の雨。屋根のある場所を探し求めて5階の議会事務局にたどり着く。この建物内で勤務している職員ですら、足を向けたことのない人が多い場所の一つではないかと思う。想定外の事態というものは、新しい発想に結びつくと実感した。雨が降らなければ、あり得なかったロケーションである。初めての場所に椅子を置くと、妙な高揚感が湧く。
雨脚とにらめっこしつつ、予定していた屋上にも上がってみる。
ここで参加したチェアリストの感想を紹介したい。
「普段は足を踏み入れることのない未開の場。子どもの頃の探検ごっこが始まったドキドキ感。地は市役所屋上、見渡すは市内全域。一望する風景が市役所からというだけで羨望の眼差しとなり、通常は特別と思われる場所でも椅子が1つあれば、特別じゃなくなる。そんなことを思ったら、雨降る夕暮れも悪くなかった。」チェアリングはしばしば参加者を詩人にする。
「各務原は高い建物が少ないので、市役所からかなり広い範囲を見渡せることがわかりました。眺望のいい新庁舎に負けず、職員として市民を広く見渡し、眼を配れる存在として働いていきたいと思いました。」
当日急きょ、声がけした市職員のコメント。模範解答のようだが、彼は本気である。
事務局メモ
【チェアリング】
ライターのスズキナオさんとパリッコさんが提唱。アウトドア用の折りたたみ椅子を持って外に出て、好きな場所で、好きなように過ごすアクティビティである。少人数で装備は手軽に、マナーを守ることが原則の、大人の遊びだ。