川を眺められる位置を探す｡車が入らないようロープが張ってあるポールの向こう側へ｡
椅子を平らな堤防に置くと､数十メートル離れたところに先客が｡チェアリングをしているようだ｡

反対側へ視線を送ると､水際にも腰かけている男性の姿が見え､釣り糸を垂らしている｡
また別の男性はひとりで川に立ち､棒で水面をたたき､追い込み漁をしている｡

交通量の多い大橋のはずだが､たまにエンジン音が聞こえる程度｡頭上を車が通っていることを忘れてしまうほど静かである｡

太陽が傾き始め､影が長くなる｡飛び跳ねる魚の腹がきらりと光る｡
野鳥の声が聞こえる｡渡り鳥だろうか｡ここには珍しい鳥も飛来してくると聞いた｡
夕日が雲を染めて､今日も楽しかったと思わせる｡
優雅な日常を作り出すチェアリングとなった｡

事務局メモ  
【チェアリング】
ライターのスズキナオさんとパリッコさんが提唱した､アウトドア用の折りたたみイスひとつを持って外に出て、好きな場所に置き、好きなように過ごすアクティビティである。少人数で、装備は手軽に、マナーを守ることが原則の､大人の遊びだ｡

～各務原大橋～
市南部を流れる木曽川に架かる、全長約600メートルの長大橋。緩やかな曲線で橋本体のシルエットを構成し、背景の山並と調和する。2013年開通。2015年土木学会デザイン賞優秀賞受賞。