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暮らしの中にDIYを。空き家リノベから学ぶ、豊かな生活。

FEATURE

暮らしの中にDIYを。空き家リノベから学ぶ、豊かな生活。

暮らしの中にDIYを。空き家リノベから学ぶ、豊かな生活。

自分たちの住まいだからこそ、
愛情を持って育てていける。

2017.05.01

各務原市が「産官学金」と連携し、市内に残る「空き家」を移住定住促進に利活用するプロジェクト、それが「暮らし DIY リノベ」。今回、その第一号となった中山さん一家の元へ。すでにこちらの住宅の一部はワークショップ形式でリノベーション(改装工事)が施されていました。「空き家」に住むってどんな生活なんだろう?そんな疑問に中山さん夫妻(中山忠明さんと絵里子さん)と、この事業をプロデュースした建築デザイン事務所「ミユキデザイン」の末永三樹さん、大前貴裕さんが答えてくれました。

築55年の空き家に住む、という選択。

ーまず、どういった経緯で各務原で家探しされたんですか?

中山忠明さん(以下、中山(忠)):自分は、生まれも育ちも各務原市で。これまでは、名古屋や大阪で料理関係の仕事をしてきました。で、独立のタイミングで自分の身近な場所でお店をやりたいと思い、2年前に地元・各務原にお店をオープンしたんです。オープン当時は実家に住んでましたが、子どもが大きくなってきたタイミングで自分たちの家を探し始めました。

-一般的には「空き家」に住むよりも先に新築だったり普通の賃貸だったりを探すのかなと思いますが、中山さんご夫婦は各務原市の「暮らしDIYリノベ」プロジェクトについてなぜ興味を持たれたんでしょうか?

中山(忠):最初はやっぱり新築の家を建てることを前提に家探しをしていたんですよね。で、とある住宅展示場で「空き家」を改築した住宅が紹介されている冊子をたまたま見つけて、読んでいたらこういうのもありだな〜と思えてきて。「空き家」って各務原にもあるんじゃないの?って思って妻と話をしていて、今回のプロジェクトのことを知り合いから聞いてWEBサイトを見てみたんです(http://kakamigahara-diyrenovation.com/)。それですぐ決めましたね。各務原市にこういったプロジェクトがあるってことは驚きでした。


写真左:「暮らしDIYリノベ」に関わる建築デザイン事務所「ミユキデザイン」のお二人(末永さん、大前さん)も取材に同行。写真右:中山さん一家(絵里子さん、ひびきくん、忠明さん、愛犬・心ちゃん)。

-実際、ここを見られた時にどんな感想でしたか?ここなら住めそうだなってイメージはすぐ湧きましたか?

中山絵里子(以下、中山(絵)):第一印象としては、十分な広さがあるな、と。そして、「空き家」と言っても傷みもほとんどなかったので問題なく住めそうだな〜とイメージできましたね。

-ちなみに、もともとペンキで色を塗るとか家具を作るようなDIYって好きだったのかなと思うんですが。

中山(忠):DIYについては、やったことはないけど興味はある、それくらいのレベルでした。


ーそうなんですね。家を決めるって結構重要な決定事項だと思うんですが、そこは「楽しそう」っていう気持ちを優先して決めたんですか?

中山(忠):「楽しそう」というよりも、ここでたくさん失敗したりする経験を重ねたかったという思いでした。この家がすごく心地いい空間になれば、ずっと暮らしたいですし、そうじゃなくとも、今後また自分たちが家を建てることになったときのことを考えて、そのときにここでのDIYの経験が活かせるかなって。

-なるほど。じゃあ、半分お試しというか。

中山(忠):そうですね。

-お試しと言っても、ある程度はお金も出ていくことだと思うのですが、実際お安いんですか?

中山(絵):家賃は3万円なんです。DIYの工具やペンキとかのお金は自己負担なわけですが。まあ、やってみてもいいんじゃないかと思える負担だったので、トライできました。

家賃3万の庭付き一戸建て!?

ー庭付き一軒家で、家賃3万円ってかなりお値打ちですね!

ミユキデザイン・末永(以下、末永):家賃は大家さんも頑張ってくれて、3万円ってこの物件を所持しているのにかかるコストくらいで。商売にはならない。でも、壊すわけにはいかないし、処分もできないし、自分は住めないし。だから、他の人が住みながら、この家の面倒を見てくれるならっていう気持ちで今回のプロジェクトに賛同してくださったわけです。

中山(忠):マンションに住んでるより安いし。マンションだと子どもたちが騒げないし、うちは犬も飼っているし……そういう条件もありながら家を探していたので、いい感じの家が見つかったって感じです。

ー一軒家でお試しができるって面白いですね~!床板の張替えや壁塗りもワークショップ形式で作られたんですよね?実際ワークショップ参加されたのはプロの方が来たわけじゃなくてやってみたいって人が来たんですよね?

ミユキデザイン・大前(以下、大前):私たちが先生となって教えながらやっていきました。ワークショップに参加された方々は「自分もやってみたいけど自分の家でいきなり試すのも難しいし」そんな思いの方が多くいらっしゃいましたね。あとは、「自分一人でやるのは心細いから、まずは勉強したい」という方とか。全くの素人の方だけでなく、プロの方も「ワークショップ形式でリノベーションする」ということに興味を持って参加してくださった方もいました。皆さん、それぞれの目的があって、この空き家のリノベ・ワークショップに集まったんです。

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リノベーションワークショップには、中山さんのお子さんや友人の子どもたちもペンキにまみれながら楽しく作業に参加。

ー中山さんご夫妻は参加されてどうでした?

中山(忠):僕は実は仕事で参加できなかったんですが(笑)。

ー(笑)。奥さんはワークショップに参加されて、初めての体験だったと思うんですが実際やってみて、どうでしたか?

中山(絵):楽しかったですね。本当に、1からミユキデザインさんが教えてくれて、私は何も知らないことを知らされたというか。壁を塗るにしても、下地をまず塗るってことも知らなかったくらいで。

-もうほとんどリノベーションは終わっている状態ですか?

中山(絵):まだ手直しできてない部屋は今は入れないように隠してあります(笑)。部屋がたくさんあるので、ちゃんと全部やったら、あと一年くらいかかるかも(笑)。

中山(忠):今はまだ仮住まいで、寝て起きてちょっと過ごすくらいなのでいいけど、活かして楽しむとこまではまだまだです。

末永:新築の家は最初から完成してるところに住むけど、ここはやりながらちょっとずつ作っていく。住みながら家を作っていく感じなんですよね。だから、初めからたくさんお金をかけるのではなくて、要るなって思うところを直していく。

-最初に全部決めて建てる新築より、徐々に進化させていくリノベの方が何だか楽しそうですね。

中山(絵):うん、楽しいし、こういうことを自分たちで考えながらやることは必要だなと。

中山(忠):次は、押入れを変えて子どもたちが寝られるベットを作ろうと。

-押入れをベッドにしようとはご自身で思いついたんですか?

中山(忠):昨日、たまたま思いついたんですよね。昔、ドラえもんのベッドに憧れて実家の押入れで寝たこともあったので(笑)。そういう感じで思いついたことをやってみる家だと思っています。

末永:そうやっている間にこの家に愛着が湧くと思いますよ~。

中山(絵):そうですね。義務的な作業になってしまってはおもしろくないので、普段の生活の中の楽しいことのひとつに「DIYリノベ」があればいいかなと思っています。ここを住めるような家にリノベするという義務感より、本当に趣味の延長みたいな感じです。最近は、ホームセンターに行くのが楽しくなりました(笑)。

「暮らしDIYリノベ」では、借り主の手だけでなく、ワークショップ形式で集まった参加者たちによってリノベーションが施されていく。

中山(忠):自分の店の施工はプロの方にお願いしたんですが、こちらからの希望をある程度伝えた後に図面が出来上がってきたとき、図面を見てもよくわかんないし、出来上がったときも完全に満足がいく状態ではなかったな〜と今では思います。そう考えると、今は夫婦2人でメジャーで測って、ホームセンターに行って「木材を何センチに切ってもらおうか」とか「ここは材料を安くしたい」とか逆に「ここにはお金かけようとか」そういう話をしながら、知識をつけていっている実感があって。そうすることで、今後また家を建てることになったとして、その時にはプロの方からあがってきた図面に対して、自分の理解度も伝える力が変わると思うし、ちゃんとした経験のもとに生まれた住まいへのこだわりができてると思うんですね。

大前:僕らも設計の仕事をしていて思うのは、自分の理想がはっきりしているお客さんの方が結果的に良い家ができるな~って。思いっきり受け身でこちらが提案したことに対して「全部お任せでいいです」って言われると、仕事としては楽なんですけどね。そういう方は知識が磨かれていないから、そういうことが起こるわけで。実際に自分で家を触ったりしていくことで、どういう空間が居心地がいいのか?って、結局は本人が理解しておいてもらうことは大切だなって。ちゃんとデザイナー側とお客さんとで意見交流できる方がお互いにとって、いい家(仕事)になるんですよね。

ーリノベーションをしていく工程の指示は基本的にミユキデザインさんが先導していったんですか?

末永:私たちが先導する」というよりは、「どうしようか?」って中山さんと相談していく感じでしたね。今はこの部屋もキレイですけど、最初見たときは物がいろいろと残っていてぐちゃぐちゃでした(笑)。でも、このリビングが一番みんなが使う場所になるだろうからってことで、まずはここから手を入れていこうと決めましたね。

古さを残しながら、更新していくおもしろさ。

写真右端ミユキデザインの末永さん。丁寧に壁塗りを指導していく。

ーリノベしていく中で気をつけたことはありましたか?

中山(忠):やはり昔ながらの家の持つ良い部分は残しつつ、新しく自分たちの手を入れて作り替えていくにはどうしたら良いのかなってのは悩みましたね。

末永:そうそう。新品にがらっと交換しちゃえば簡単なんだけど、それをここでやるべきかどうか?って考えたら違うと私たちも思いました。例えば、玄関のチャイムがなくてアナログなベルが残ってたりとか、もともとの壁紙がなかなか珍しい柄だったり……。そういうのは無理に取り替えてしまう必要はないから残しています。そもそも、私たち建築デザイナーが関わるのって、極端なこと言えば完成するまで。工事が終わってから遊びに行くことはあっても、実際にその場所を使っていくのはそこに住む人たち。だから、その人たちが変えたいと思って、どんどん自分で手を加えて行けるのは「生きる力」としても大事だな~って感じます。

大前:古い建物を見ると、昔の人はそれなりに直したりする技術を持っていて、家を維持していくことを学んだりもします。狭くなったから、部屋を付け足したりとか。いつ頃からかはわかんないですけど、そういうDIY精神が世の中から無くなってしまったようにも感じますね。

末永:やっぱり賃貸だと、現状復帰の義務がありますので、壁に穴を開けるだけでも躊躇しますよね。「DIYリノベ」で取り扱っている空き家はだいたい3万円~5万円くらいで借りれるものばかりですので、最新の設備の新築マンションに入ることも悪いことではないと思いますが、ピカピカで何も手を掛かるところがない与えられた居住空間でただただ生活をするのと、自分の好きなように自分らしく使えるように考えて変えていくか?どっちが良いかですね。

大家さんという大切な存在。

-例えば、名古屋市内で中心部だと5万円で良い部屋を見つけるのはかなり大変で、中山さん宅のように、家賃3万円で6部屋もあって、自分で勝手に触って良いという条件だったら、断然そっちの方が魅力的です。

末永:不動産屋さんに行って家を探す場合、古くてボロボロだったら賃料がどんどん安くなりますよね。最終的にはそんなボロボロの家は物件そのものが売れなくなってしまうので、普通の不動産業者は価値を見いだせず、取り扱いをやめてしまうでしょう。単純に安いければいいって人も世の中にはいっぱいいると思いますけど、大家さんも誰でもいいから貸したいわけじゃないんです。空き家と言えども、大家さんの持ち物なので。ボロボロな空き家の状態を気にせずそのまま住んで、使い捨てのように出ていかれるのでは、やっぱり大家さんとしては悲しいですし、このプロジェクトの意味をなさないと思っています。だから、ちゃんと愛着を持って住んでくれる人かどうかっていうところも重要なポイントなんです。

-大家さんも家に愛着があるってことですよね。

末永:壊して更地にして土地として売るってのも選択肢としてはあると思うんですが、先祖から受け継いできた家を自分の代で無くしてしまうってことにやっぱり罪悪感もあるでしょうし。かと言って、そのままじゃ誰も借り手が見つからないので、どんどん家はボロボロになっていってしまう。そういう空き家を抱えて困ってる大家さんもいるわけです。

-実際ここの大家さんはリノベーション後に見に来られたんですか?

中山(忠):ちょうど今日いらっしゃいます。たまたま連絡あって。大家さんも楽しみにしてくださってたみたいです。

ーお~そうなんですね!

中山(絵):お見せできる部屋がまだ少ないですが(笑)。

末永:オーナーさんとの関係は良好ですよね。

-普通の賃貸だったら、間に管理会社が入るので大家さんと顔を合わす機会もないですよね。

中山(絵):大家さんがご近所の方々を紹介してくれたりとか。それで私たちもすんなりこの地域コミュニティに入れたように思えます。

-え~!そんなことまでしてくださるんですね。

中山(忠):近所の方との付き合い方もね、一般的なマンションとここ(戸建て)は違うし。ご近所との関係性づくりは心配の種ではありましたが、そこを大家さんがしっかり繋いでくれたので、本当に助かりました。

末永:最近だとご近所さんに挨拶まわりもしなかったりする方もいますし。それって気持ちが悪いことですよね、どんな人が近くに住んでいるのかわからないなんて……。そういう昔ながらの正しい習慣も大家さんがちゃんとサポートしてくれることは心強いし、地域にとっても良いことですよね~。

「暮らし DIY リノベ」が教えてくれること。それは、どうやって家を住み良く改修していくのか?といった単なる生活の知恵を学べるだけでなく、大量生産/大量消費の世の中で当たり前になってしまった「使い捨て」の考え方も再考する貴重な機会となるだろう。さらには、昔から続いてきた地域コミュニティそのものを引き継いでいく、人と人とのつながりの大切さも同時に教えてくれるはずだ。各務原市では現在も引き続き、空き家に住みたい居住者とのマッチングを精力的に行っている。興味を持たれた方は、こちらのサイトをチェック

暮らし DIY リノベ

暮らし DIY リノベ

「住み心地いいよ」は、多くの市民の皆さんからいただく言葉です。それは日々の暮らしの中でよく実感します。

それをたくさんの人に体験してもらうため、空き家ツアーやDIYワークショップ、まちを面白くする実践者をゲストに招いたトークセッションなど、暮らしを豊かにするヒントや知恵の詰まった企画をスタート。

さらにライフスタイルにこだわりを持った住まいを応援する「借主負担DIY型賃貸借契約」を整備。大家さんと住まい手のマッチングをします。

ちょっと住んでみたい、今の家をなんとかしたい、小さな思いが大きな何かに変わります。ぜひご参加ください!
http://kakamigahara-diyrenovation.com/

2017.05.01
LIVERARY

WRITER PROFILE

武部 敬俊LIVERARY

名古屋を拠点に、ローカル/カルチャートピックスを日々発信/提案しているウェブマガジン「LIVERARY」編集部の武部です。岐阜県各務原市の魅力を市民協働で発信していくサイト「OUR FAVORITE KAKAMIGAHARA」をお手伝いしています。市民ライターの方々と楽しみながら記事を制作していきたいと思っています。どうぞよろしくです。

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